都心や首都圏で分譲マンションの購入を検討している方は、機械式駐車場には注意しましょう。

平面駐車場では、駐車できる台数を確保できない場合でも、2階建てや3階建ての立体駐車場にすることで、1台分のスペースに複数台の車を駐車できるのが機械式駐車場です。

最近のマンション、特に首都圏や都心のマンションでは、駐車場のための十分なスペースが確保できないために、機械式駐車場を導入するマンションが増えているようです。

機械式駐車場のメリット

機械式駐車場

何故、多くの分譲マンションで機械式駐車場を導入するのか? 
それには以下のメリットがあるからです。

■限られたスペースでも、駐車可能な台数を増やすことが出来る
■駐車場代を安く抑えられる
■いたずらや間違い駐車が少ない

などのメリットがあります。

一番大きいのは、一番上の「限られたスペースでも、駐車可能な台数を増やすことが出来る」でしょう。マンションを購入するときに、駐車場の空きがあるか、新築マンションを購入するときに自分の車が駐車できるかどうか? といったことは車を持っている方にとってははかなり優先順位が高いですよね。

ですから、マンションのディベロッパーはできるだけ多くの駐車スペースを確保しようとしますが、土地の広さには限界がありますし、土地を広くすれば分譲マンションの価格も上がってしまいます。

お手ごろ価格のマンションで、駐車場(駐車料金も休め)も確保したければ、機械式駐車場といった構図になっているのかも知れません。

マンションの内覧会や、説明会に行くと、「立体駐車場だから駐車場代が安く抑えられますよ」とか「平置駐車場と比較して、無関係な人が駐車したり、いたずらされる可能性が低いですよ」などといった説明をしてくれることが多いと思いますが、

機械式駐車場だからというよりも、その土地の条件や雰囲気によるところが大きいと思います。

あと、平置き駐車場だと区分を分ける白線ギリギリに駐車してくる人がたまにいますが、機械式駐車場では、駐車できるスペースがはっきりと区切られているため、このような心配はないでしょう。

機械式駐車場のデメリット

デメリット

それでは、機械式駐車場のデメリットについてみていきます。

■駐車できる車種が限られている
■一度に駐車・出庫できるのは1台のみ
(駐車、出庫もやりにくい場合が多い)
■荷物の出し入れが面倒くさい
■機械式駐車場が故障した場合には、駐車、出庫ができない
■メンテナンス費用、部品代が高額となる場合がある

などのデメリットがあります。

一番大きなデメリットは、駐車できる車種が限られていることでしょう。普通乗用車ならさほど問題はないかも知れませんが、ミニバンや大型車、RV、さらに改造車などちょっと条件が違うだけで駐車ができない場合もありますので要注意です。

普通の乗用車であっても、スキーやスノーボードおキャリアを取り付けただけで駐車できなくなる場合もありますし、エスティマハイブリッドのような2トンクラスの重量がある車の場合、重量制限がかかる場合もありますので、マンションの購入はもちろん、買い替えの場合にもしっかりと確認しておきましょう。

ディーラーでは、購入費用の見積もりだけでなく、オプションを装着した場合の幅、長さ、高さなども確認しておきましょう。同時に周囲の駐車場の駐車料金の見積もりもとっておくと比較がしやすくなります。

そして、これは主婦など女性ドライバーを悩ませていることが多いようですが、機械式駐車場の場合は、駐車スペースが限られているだけでなく、切り替えしをする場所も狭かったりして、車の出し入れに苦労する場合が多いようです。

一度に駐車や出庫できる台数も限られているため、自分が出勤や買い物などで出かけようとしたときに、待たなければならないこともあります。
(忙しい朝には大変ですね)

宿泊旅行やドライブに出かけるときで、荷物が多くて、何回かに分けて運び入れなければならない場合には、一時スペースがあればそこで荷物の出し入れが出来ますが、ない場合には、毎回機械式駐車場で自分の車を呼ばなくてはいけないため、かなり面倒くさいです。

そして、これは決定的なデメリットになりますが、機械式駐車場が故障した場合や停電の場合には、車を出すことも駐車することも出来ません。マンションに常駐の管理人さんがいる場合には業者に連絡してくれたり、暫定的に駐車場を確保してくれる場合もあるかも知れませんが、管理人さんが常駐しているマンションはそんなに多くないでしょう。

現実的には機械式駐車場が故障した場合、管理組合に連絡するか、自分で業者に連絡して、修理対応をしてもらう必要があるでしょう。

ここで、修理に関してですが、機械式駐車場の修理代はかなり高額になる場合が多いです。実際に料金を見積もってもらったところ部品代だけで、5万円~10万円、この部品を複数交換する場合には何十万円という費用がかかりますし、技術料や出張料が追加されればさらに高額な出費となります。

さらに定期的な保守点検費用がかかります。20台程度の機械式駐車場のメンテナンス費用で30万円くらいかかっているそうです。

機械式駐車場はかなり高額で、数千万円レベルの費用がかかるのですが、さらにランニングコストもかなりかかる場合が多いようです。

新築時の駐車場代は、これらのメンテナンス費用が十分考慮されていなくて、後々管理組合と住民の判断で駐車場代を値上げしなければならない場合もあるようです。

なぜ、このようなことになってしまうのか? ここからは私の予想ですが、マンションのディベロッパは初期費用を浮かせるために、設置費用の安い機械式駐車場を選んでしまうことが考えられます。安くても品質がよければいいのですが、結果的に故障が多かったり、メンテナンス性が不十分で修理代が高くなってしまうことが多いかも知れません。

今後は良心的で、技術力の高い機械式駐車場の業者が増えてくるといいですね。

マンション総会で出た! 驚きの事実

驚きの事実

先日のマンションで驚きの出来事がありました。私が住んでいるマンションでは、20台ほど(地上3段、地下1段、5列)の機械式駐車場を採用しているのですが、年間の機械式保守点検費用が、317,520円かかっているようです。点検は年に4回してくれるようですが、1回の点検費用が79,380円というのもかなりの驚きです。

先日、機械式駐車場の動きが悪くて、横移動をしている途中に停止して、エラーとなってしまう現象が発生しました。原因は機械式センサーの故障のようですが、部品代が5万円~7万円くらいだったと思います。業者曰く、基盤ごと交換する必要があるので、高額になってしまうとのことですが、意味不明ですね。

このセンサーには寿命があって、全部で数十個使われているため、全てを交換するには部品代だけで50万円くらいかかるとのこと。保障期間は1年間だけなので、有償交換になるらしい。

管理会社の方が説明してくれましたが、納得するのはかなり難しい内容ですよね。消耗品で交換が必要なら、数千円レベルの部品を交換するようにしておいてくれると良かったのですが、こういうことは難しいのでしょうかね。

余談ですが、機械式駐車場を取り扱っているメーカーや業者は少なく、独占状態とまでは言いませんが、交換部品もそのメーカーから購入する必要があり、料金が高くなっているようです。技術大国の日本としては、なんとも違和感があります。

さらに、機械式駐車場自体も寿命があって、20年から30年のタイミングで建替えが必要で、その時の費用は2000万円かかるそうです。こんなにかかるなら、近隣の土地を購入して、駐車場として活用したほうがいいんじゃないか!? って思ってしまいました。

このような状況も考慮して、今すぐにではないですが、長期的な視点に立つと、駐車場代の値上げも検討材料に入っています。

せっかく、安くて便利なマンション敷地内の駐車場に入れたのに、なんだかショックですね。

まとめ

ポイント

機械式駐車場の出現によって、せまいマンションの敷地内でも、駐車可能な台数が増えて、マイカーを持つ住民にとってはとても便利になりました。

しかしながら、機械式駐車場は故障しやすく、メンテナンス費用も高額となっており、最終的なつけを払うのは、分譲マンションを購入した住民となります。

このあたりのことは、マンションを購入するときにはあまり考えられることはないかと思いますが、機械式駐車場に過度な期待はしないほうがいいでしょうし、平地駐車場が確保されているマンションがあるなら、そちらを検討するほうが、経済的になるかも知れません。

また、駐車場の優先順位が高い場合はマンションよりも一戸建てを選んだほうが後々のことを考えるといいかも知れませんね。