こんにちは。大自然に囲まれた環境で生活することが夢で、満を持して、念願の田舎暮らしをスタートさせた「つくし」と申します。
私たちの場合は、新型コロナウィルスよりも少し前に地方移住をしましたが、今現在で検討中の方にも役に立つと思いましたので、私の実体験を紹介させて頂きます。

引越し概要
  • プロフィール:30代 女性
  • 家族構成:夫と2人家族 現在第一子を妊娠中
  • 職業:本人は観光施設で接客業、夫は営業職
  • 引越しの動機:幼い頃からの夢だったから
  • 引越し時期:10月下旬
  • 引越し元→引越し先:北海道札幌市→北海道新千歳空港周辺(約60㎞)
  • 間取り:2LDKアパート→一戸建て(延べ床面積50坪)
  • 引越し業者名と選んだ理由:なし(自分で引越し)
  • 引越し料金は?:0万円
  • 一括見積もりサイトを利用した?:NO

引越し業者を使わなかった理由としては、捨てていくものが多く、引越し先へ運ぶものが少なかったためです。

引越し業者よりも産廃業者に依頼した方が良いのでは!?

と考えていたところ、柔軟に対応してくれる建築関係の業者さんを紹介され、結果的にそちらにお願いすることになりました。

業者に依頼したのに、なぜ無料になったのか?は文中に紹介していますので、そちらを見てくださいね。

はじめに

電車通勤のOL

以前の私は、北海道札幌市でOLをしていました。自宅から会社までは地下鉄で通い、通勤で地上へ出るのは家から最寄り駅までの100メートルだけ。周囲には商業施設が溢れ、何も不自由のない生活のようですが、自然が好きな私にとっては息が詰まる環境でした。

バリバリ働くことが生きがいだった私は仕事に明け暮れ、毎日14時間働いても苦とは思わない生活を送っていました。しかし、結婚を期にマイホームを検討し始めた時、幼い頃からの夢だった大自然の中で暮らすことへの憧れが再燃!実行へと移していくことになるのです。

なぜ、地方移住を選択したのか

働き方なんていくらでもあると気付いたから

猫に餌をあげる

私は生物に関わる分野で10年のキャリアを積み、現在は部下への技術指導だけなく、専門学校などに講師として呼ばれ指導しています。学会などで知り合った全国の同業者からも技術指導を依頼されたりするため、会社に属さずフリーになってもそこそこやっていけるのではと思えるようになりました。

今の仕事を続けても正社員に拘らなければ時間を自由に使えますし、仮に仕事を辞めたとしても、私の場合は月10万円ほど稼げば夫の収入と合わせて生活していくには全く困らないということがわかりました。

私の価値観が「仕事で成果を出す」ことから本当の意味で「好きなことで生きていく」という思考に変化していったのです。

生活に必要な最低限の生活費を計算してみると、仕事や働き方の選択肢が広がります。

正社員は生活が保証されている??

会社が倒産の危機

極め付けが新型コロナウィルスです。

私の勤め先は観光施設のため、コロナの影響で仕事が激減しました。

従業員の2/3を休ませ、最低限の人数での労働が指示されました。幸いなことに月収には影響ありませんでしたが、賞与は激減。私は年収が100万円ほど下がりました。なかなか終息が見えない状況で、このまま会社が潰れてしまうのでは、と危機迫る感覚に正社員への価値観も変わっていきます。

今までは、大好きな会社を成長させたいという熱い思いで働いてきましたが、コロナという自分ではどうすることもできない環境の下では、自分では何もすることができず、生活すら保証されない。

その時に、正社員だから収入が保証されていると思い安心して働いていた自分がいたことに気が付きました。

“好きなことで働く”その意味が思いもよらなかった方向から見えてきました。

憧れの家庭菜園

畑

“好きなことで働く”ことは私にとって、“自分たちが食べるものを自分たちで作る”というものでした。
無農薬栽培した野菜を育てたい、その思いを叶えるためには、やはり田舎で暮らすことが
最良の選択となったわけです。

田舎暮らしをはじめて変わったこと

夢の詰まったマイホーム

憧れのマイホーム

フルオーダーの注文住宅で家を建てました。

念願のマイホームは、「ペットと暮らす家」をテーマに設計。ハウスメーカーさんへ依頼してもどうしてもその会社の得意な構図から選ぶ(セミオーダー)ことになってしまうため、私たちが求める注文住宅ではない!と思い、設計士さんを入れてゼロから考えました。

窓辺の猫

工夫したところ

リビングには憧れの薪ストーブを設置
愛猫のためにキャットステップと吹き抜けからリビングを見下ろせるスペースを作成
窓も猫の目線の高さに合わせ足元に設置

その他にもリビングから水槽を眺められるように併設した水槽部屋は、水槽のメンテナンスがしやすいように段差をつけたり、人の居住環境と動物を分けられるように設計したペット室や、植物専用の部屋など…とにかく好き放題注文し、私たちにとっての理想の家が完成しました。

資金面では、夫は家の頭金に500万円用意し、私は家財担当で200万円用意しました。
家は住宅ローン減税など各種税金が優遇されることから、長期優良住宅に認定されるように設計しました。

長期優良住宅となると全体の建築費用は増しますが、数年前に震度7の大きな地震を経験したことで、金額よりも安心して住める家を建てたいと考えるようになりました。また、様々な減税の対象となりますので、長い目でみると決して高くつくわけではありません。

500坪の土地を取得

畑

都会でのアパート暮らしに週末は街でウインドウショッピングの生活から一転、ど田舎に500坪の土地を購入し、農家へ転身しました。現在では週末には耕運機をかけ、日が暮れるまで土いじりをしています。

購入したい土地が農業特区であることから、農家になるために営農計画書を作成して農業委員会に提出する必要がありました。営農計画書とは、どんな種類の野菜を育て、どのようなルートでどこに販売する計画があるのかを記載するものです。ハウスメーカーによっては、家の設計を計画する際に計画書の作成を請け負ってくれるようですが、私たちは自力で作成し、提出しました。およそ2ヶ月ほど審査の結果を待って、めでたく農家となりました。

営農計画書

野菜作りは初めてのことばかりで失敗も多いですが、自分で作った採れたて野菜は絶品!
初年度は枝豆、人参、大根、ピーマン、ナス、大葉、インゲン、ヤーコンなど、葉物から根菜まで様々なものを試験的に作ってみました。
採れたて新鮮な野菜は濃い味わいとともに今までにない充実感も味わえます。

交通量が激減!

農村の道路

以前は毎晩救急車が通る大通りに住んでいましたが、現在は家の前の道路を通過する車は私たち家族の車くらいです。移住先での交通量は1日平均して、1台通るか通らないかです。ペットの猫も安心して外で自由に遊べる環境になりました。

移住先を選んだ理由

子育てがしやすい環境

小学校

田舎暮らしをするにあたって、私にとっての一番の心配事項は、子育てでした。
しかしながら、思い切って田舎暮らしを始めて見た結果、都会と同等、ひょっとしたらそれ以上に充実していると思っています。

私が選んだ土地は、小中学校まで子どもの足で徒歩15分。英会話やスイミングスクールなどがある街までは裏道を通れば車で15分。小学校は少人数で学力は市街地よりも高く、子どもにとっても学びやすい環境であると判断しました。

まもなく第一子が産まれますが、近くの保育園は土日も預けられ、野外活動が充実しており乗馬までできる環境です。乗馬ができるなんて、都会では考えられないようなセレブな環境ですね(笑)

玄関を開けてから2時間で東京という好立地

空港・ターミナル

北海道暮らしは、意外と思われるかも知れませんが、東京までとても近いです。

北海道の玄関口、新千歳空港までは自宅から車で15分という距離。改札をくぐれば1.5時間で羽田空港に到着です。出張が多く、夫婦で旅行好きのため、空港から近い立地は外せない条件でした。

ど田舎でありつつも市街地まで近い

冬の北海道

大きなスーパーまで車で15分の距離。日用品を買うには全く苦にならない距離であることは重要なポイントでした。札幌市までは最寄りの駅から電車で35分。行きたい時に苦にならない適度な距離感で、都会の便利さに慣れた私でも田舎で暮らすストレスを感じたことはありません。

物件を決める際に重視したポイント

よそ者が溶け込みやすい雰囲気があるか

地元の農家

田舎にはその土地特有のルールや、よそ者を疎外する雰囲気があるのでは?その土地に溶け込めるか心配…。そう思う方も多いのではないでしょうか。私もその一人でした。

物件を検討する際に私がやっていたことは、近所を散策し、出会った方に笑顔で「こんにちは」と声をかけてみることでした。私が決めた場所は、皆さん笑顔で返してくれるだけでなく、「もしかして、ここを検討しているの?」と、気さくに話しかけてくれました。

何度か足を運ぶうちに近隣には子育て世代も多いこと、他には都会からリタイア移住し優雅に暮らす老夫婦が多いことがわかりました。

会話をしていても考えが柔軟で知識が豊富な人が多く、安心して住めると確信しました。

破格の土地代金

畑

田舎はとにかく土地が安い!

市街地の1/10程度で浮いたお金を家の建築費用に回すことができました。おかげで都会の友人たちからは豪邸と言われますが、総費用は私の方が安いことに友人たちも驚いていました。

公共の交通機関が充実している

電車の駅

空港まで車で15分。快速列車が停まる駅までは車で7分 、おまけに駐車場は無料ですから、とっても経済的です。都会の生活では、徒歩圏内住まないと公共交通の恩恵をうけるのは難しかったですが、田舎では、こんな縛りはありません。

農作業をしやすい環境

収穫された人参

もともと畑として使用されていた土地だったため、大きな開拓工事はしなくて済み、ふかふかの土がすでに用意されているような最高の条件でした。

もし、購入する土地が手付かずの荒地だった場合には、木がある場合には抜根し、ショベルカーで掘り起こして岩や石を取り除き、場合によっては土を入れ替え、やっと耕運機をかけられるようになります。大きな土地にはればその分だけ費用もかかりますので、土地選びは重要ですね。

また、町内会では農機具のレンタルや堆肥の配給制度など、農作業をするためのシステムが充実しており、作物を育てるための初期費用がほとんどかからないというのも大きな魅力です。

耕運機

小型の家庭用耕運機は30万円ほどで購入できますが、毎日使うわけではないので、私は親しい近所の人から使いたい時に無料で借りています。
また、春の土づくりの際には大型のトラクターで深いところまで全体的に掘り起こした方が良いのですが、そうした場合には近所の農家さんに依頼すると1回数千円で耕してくれます。

地方移住をしたメリット

不要なものがわかり、身軽になった

断捨離

引越しの際、様々なものを断捨離しました。もともと物は少ないと思っていましたが、荷物をまとめると不要な物がたくさんあることに驚きました。新しい家をいつまでも美しく保ちたいと思い、物を買う時に本当に必要かどうかを考えることが習慣になりました。

特にたくさん捨てたものは、それまで一番好きだった洋服です。流行り物のデザインの服からはじめ、高価だったという理由で捨てられなかった服、そして靴、バック、貴金属とだんだん捨てることが気持ち良くなっていき、引っ越す頃には随分と身軽になりました。

食品に関しても、無ければ目の前のコンビニに駆け込むなんてことができなくなったので、ある材料で代用したり、自分たちでドレッシングをつくったりと工夫していくうちに使い切る習慣が身につき食品ロスが随分と減りました。

経済的

近所を散歩するだけで抱え切れないほどの新鮮な野菜をもらえます。家庭によって作っている種類も違い、帰宅すると玄関に様々な野菜が山積みになっている、なんてこともしょっちゅうです。

引越し費用が無料に!

また、引っ越した際のエピソードですが、引越し前にひょんなことから地元の解体業を営む社長さんと知り合いになりました。空いた時間で荷物の運搬をしてくれるとのことで、見知らぬかたではありましたが、その人柄に引越し作業を依頼することになりました。当日は社長さんの友人の大工さんも来てくださったのですが、荷物を下ろす際に私たちの新居を見て大興奮!ぜひ見学させて欲しいと言われ、新居を探索しました。わいわいと楽しそうに見学された後に「いや〜とっても勉強になったので代金はいらないよ!」と言われ、私たちも最後までお渡ししようと押しつけましたが、結局本当に置いていってしまいました。

圧倒的な開放感

窓辺の猫

騒音なんて気にしたことはありません。聞こえてきませんから。

周囲にはカーテンをしていない家も多く、私の家のリビングには大きな窓があり、いつでも自然を眺めることができます。バーベキューなど外で食事をするのも本当に気持ちが良いです。

地方移住のデメリット

おしゃべり好きな人が多い

おしゃべり

おしゃべり好きな老夫婦が多く、やたらと話しかけられます。お陰で私もちょっとした情報通になりました。

都会では近所の人が何をしているかなんて知ったことではありませんが、私は近所のおじいちゃんの大学での専攻科目やご職業まで知ることになりました。

同年代の主婦からは「話し相手欲しさに家に遊びに行っても良いか?」としょっちゅう連絡が来ます。おしゃべりは楽しいのですが、やりたいことがたくさんあり、ひとり時間が大好きな私にとっては少々苦痛に感じる時もあります。

孤独好きなら都会の方が良いかもしれません。

気軽に飲みに行けない

飲み会禁止

以前は週3~4程飲みに出歩いていた私。今は街までタクシーを使うか、運転代行で帰ってくるかとなったため気軽に外食できなくなりました。

仕事で遅く帰ってきた時も自炊しなくてはいけない環境に、「経済的だ…」と自分に言い聞かせながら渋々料理をしています。

電話の電波が入りにくい

携帯電話が圏外

これは盲点でした。
もともと電波状況があまり良くないことは家を建てる前から知っていたのですが、最近の住宅は機密性が高いらしく、窓を締め切った状態では通話が途切れ途切れになってしまうほど電波の入りが悪いです。おかげで冬でもいちいち窓を開けて会話するか、ネット電話に切り替えて通話をしています。

地方移住を検討している方へのアドバイス

大切なものは何か?優先順位を家族で話し合う

家族で話し合う

地方への移住は人生の大きな決断です。まずは家族とよく話し合ってみてください。その際に、一人ひとりの”大切にしたいこと”を書き出していくと良いでしょう。

それは都会でないと本当に手に入らないものでしょうか?

インターネット環境が急速に発展してきている今だからこそ、様々な選択肢があります。都会だから有利という状況は変わりつつあります。都会はもので溢れていますが、田舎でしか経験できないこともたくさんあります。

まずは家族の一番大切なものは何かをみんなで共有するだけでも有意義な時間となるでしょう。

老後を見据えた計画も大切だが、考えすぎないことも大切

元気な老後

田舎暮らしは医療面など老後が心配という方も多いでしょう。
もちろんよく調べて検討する必要はありますが、状況は変わるものです。

将来土地の価格が上がり、物価の安い環境で生活していくうちに思った以上に貯金ができるかもしれないし、移住者が増え福祉が充実してくるかもしれません。考えだすと不安は尽きないですが、人生は長いもの。

若いうちに思い切って行動してみるというのも私はアリだと思います。

何度も現地へ足を運んで検討する

田舎暮らし

ネットで調べつくしても、紹介業者の話をどれだけ聞いても、わからないこと・見えてこないことはたくさんあります。何度も現地へ足を運び、そこに住んでいる人と直接話をしたり、近くのお店に行ってみるなど、現地に溶け込んで体験してみることが大切です。

田舎暮らしをした感想

家庭菜園

私は田舎暮らしを始めてまだ間もないですが、毎日家に帰ることが楽しみで、次の休日に何をしようかと毎日ワクワクしています。毎朝外を眺めると目の前に広がる自然に心躍り、今が人生で一番充実していると心から思いますし、これからの生活も楽しみです。
地方移住の動機は人それぞれです。経験者の私から言えることは、人生は一度きり。正社員だから安定しているということが当てにならなくなった今だからこそ、豊かに暮らす本当の意味を見つめ直せるのではないでしょうか。

管理人より

猫写真(れおたまる)

つくしさん、貴重な経験をシェアしてくださり、ありがとうございました。
田舎暮らしに興味を持つ人は多いけれど、実際に前もって行動して、資金等も準備できる方はとても少ないと感じています。素晴らしいですね。

新型コロナウィルスの影響で、地方への移住を考える方も多いかも知れませんが、実査にに田舎暮らしを始めるには、何が必要なのか、どのように準備をすれば良いのか、こちらの記事が役に立つと思います。